ゆりおろぐLIFE

エッセイと日々の活動。

魔法にかかった義父母。〜わかりあえないことから〜

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義父母の遊び方

GWに義父母が遊びにきた。

 

なんといっても、可愛い盛りの孫に会いに来たのである。

遠方(福岡)に住んでいるためなかなか会えず、会うのは半年ぶり。

 

楽しみ半分、色々と気も使うのが義父母とのやりとりである。

  

「ピンポーン」

 

「あっ明太子…じゃなくてお義父さんたちが来た!」

 

幼児が飛び出していき、それを見た義父は目を真っ赤にして喜びの涙をこらえていた。

「久しぶりだなあ〜」

 

幼児を抱き上げた義父。「来たよ〜」「元気か〜」ひとしきり話しかけた後は、幼児の様子を見ていた。

ソファに腰掛け、じっと見ていた。

 

幼児と遊ぶとき、私や夫は絵本を読んだり、おんぶしたり、おもちゃで一緒に遊んだりするが、義父母は主に「一緒に遊ぶ」というよりは「遊んでいるところを見る」。

 

どうやって遊ぶのか、わからないということもあるだろう。

幼児は、いつもしている遊びをして、凝視されていた。私は家事をしつつ、凝視している義父母を凝視してしまう。

 

わが家のリビングにはテレビがないので、飽きたらテレビを見るというわけにもいかないのだろう、義父母はひたすら幼児を見ていた。

 

やがて、幼児はネンネの時間になり、寝かしつけに私が連れ出した。

 

リビングの隣の部屋での寝かしつけ。

 

声も丸聞こえのはずなのだが、私が幼児の背中をトントン叩いたり乳をやったりしている30分の間、義父母がいるはずのリビングからは、一言の言葉も足音も聞こえてなかった。

 

寝かしつけを終え、恐る恐るリビングに出ると、別に眠っているわけでもスマホをいじっているわけでもなく、じっとソファに座っている義父母がいた。

ちょっと、怖かった。どうしたの、何を待ってるの。寝かしつけに2時間かかったらどうしてたの。

謎だった。

えっ道中はなにしてたの、ずっと前の人の背もたれ見てたの?

 

お茶入れたり飲んだり食べたり、その辺のおもちゃや絵本や本や新聞やなんかを見れば良いのに。まるで電車に乗っているような、置物のようになった義父母に話しかける。

 

話しかけるとちゃんと返ってきた。お茶「飲む」って、よかった。孫がいないと置物になる魔法がかかってるのかと思った。

 

雨の日の義父母

来訪3日目は雨だった。しかも横なぐりのすごいやつ。

少々の雨だったら外食に行こうと思ったが、70代の高齢の義父母にこの横なぐりの雨を浴びせるわけにはいかない。

義母の横髪が舞い、義父が流されてくるビニール袋に立ち向かうそんなロックな映像少し見たい見たいけど面倒くさくなりそうだからいやだ。

 

さて、雨の日の義父母はいつも以上に動かなかった。高齢者というのはこういうものなのだろうか。

 

ただじっと孫が遊んでいるのを見ているだけで満足なのだろうか。それとも、飽きても他にすることがないからぼーっとしているのだろうか。

 

しーんとしている中で幼児を見ている義父母と夫、そして座るところもなく立ち仕事をするわたし。はっきり言って抜群に息が詰まった。

 

翌日、天気は回復していた。

 

私は耐えきれなくなり、夫に任せ近所のカフェに逃亡し数時間を過ごした。公園でも行ったらどうかと夫と義父母に伝えていたが、私が帰ったときまだ家でじっとしていた。

 

「公園に行きませんかもし良ければ?」と声をかけると、行くとのこと。いきたいのかよ!待ってたのかよ!

 

公園ではすべり台に興じる孫の写真を沢山撮り、楽しんでいた様子である。

 

義父母の謎

 

・自分からは提案しない

・自分からはやりたいと言わない

・自分からはお茶を入れない

 

私は飲みたければ飲み、退屈であればどこかへ行くか行きたいと伝えるが、義父母はそうではない。

謎だった。マヤ文明の謎くらい、トイレの花子さんくらい不可解だった。

 

動けば良いのに、なんでいつも待っているんだろう。やってもらえることを期待しているのだろうか、「何かをやりたい」「欲しい」と言うことは、ワガママでハシタナイことだと思っているのだろうか?

 

普段と違う場所にくると、慣れるまではじっとしている性格なのかもしれない。借りてきた猫みたいに置物になる魔法がかかるのかもしれない。

 

夫いわく、「遠慮してるんだよ」 

ただそれだけのことか。

 

でも私には理解が難しかった。

 私は知らない場所では歩き回り楽しむことを重視するが、義父母は慎重さと安全を大事にしているのかもしれない。

 

それとも義父母は私が思っているより幸せで満たされていたから何も言わなかったのかもしれない…

 

悶々と考えてしまう。

退屈そうだが動かないときの、義父母の頭の中を覗いてみたいと思う。

 

やりたいことをがまんされたり、期待して待たれるのはしんどいな、でもそうさせているのは私なのだろうか。気遣いが足りないのだろうか…

 

そんなことを思いつつ、

『わかりあえないことから-コミュニケーション能力とは何か-』(平田オリザ)を思わず注文したのだった…。

 

わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)

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