『君の膵臓をたべたい』でピュアにダイブする
君の膵臓をたべたい。
昔、唯一大学に来て良かったと思える授業をする先生がいた。
その先生の言葉を思い出す。
「自分の最良の部分を用いなさい」
というような。
人生のことあるごとにこの言葉を思い返したが、小説を読んでいて思い出したのは初めてだった。
人と人とが関わること、相手を知りたいと思うこと。
それを純粋に見つめたお話だ。
友達が一人もいない設定の主人公の高校生。クラスメイトの超元気いっぱいだけどもうすぐ死ぬ「彼女」。全然人と関わってこなかった主人公。それでも良いと思っていたのに、彼女と関わることで、内面にさまざまな衝撃が起こる。
特に、ある意味ラストシーンといえる喫茶店での待ち合わせの場面で、彼に立ちのぼってくる自分の変化への気づきや驚きや感動には、これまで読んだどんな小説より心つかまれたかもしれない。
これを綴ることが、作者の、「最良の部分」をぎゅっと押し出す作業だったにちがいないと思う。
荒削りで、正直あんまりうまくないなと思う箇所もありながら、こんなに心惹かれる本、他にない。
君の膵臓をたべたい。
キミスイロス気味です。
これから先、出会えて良かったと思える本にどれだけ出会えるだろう。
偶然じゃなく、出会うことを選んだんだよ。
本文の言葉があちこち頭に残る。
君の膵臓をたべたい。
素敵な時間をありがとう…
君の膵臓をたべたい。