物を大事にできることは、自分の人生を大事にすること。近藤麻理恵『人生がときめく片づけの魔法』
実家に帰省して、ほったらかしだった部屋の断捨離を敢行した。
部屋を離れて約3年。久しぶりにみるぬいぐるみや昔もらった指輪などにときめきながら、大量に洋服や書類や小物を捨てた。
その中でしんどかったのが、大学時代、死ぬほど勉強していた時期のノートや単語帳やまだ愛着のある大量の参考書を目にした時だった。
3年間死ぬほど勉強した結果、夢だった仕事にわたしはつけなかった。その時の記憶は今も封印されたようになって、胸の奥にしまわれていた。
今ならわかる。わたしは本当にはその仕事に興味がなかったんだと。
憧れはあった。憧れだけでもちょっとした興味であっても、就職できればいいじゃないか。「理由なんてなんでもいい、東大に入れば人生が変わるんだ」とドラゴン桜でも言っていたじゃないか。。
私はその後、受かった会社に就職し、退屈になり別のことを始めるために退職し、自分の軌道をもてたと思っている。
しかしそれでも思う。あの仕事にいけたら、どんなに面白かっただろう、と。
乱れたノート。自分を鼓舞しだらけることを禁止し、律することを繰り返し書いて机に貼っていた紙。そこにあった散らかった部屋。
ひたすら、禁止することばかり書いてあったことが衝撃だった。
確かに勉強は辛くがまんしたことで後悔したこともある。でも何度も繰り返しやった参考書や、苦手を克服した問題集の表紙、あちこち貼られた付箋をみると、取り組んだ時間はかけがえないと思う。実際とても、面白かったのだ。
でも。
もしも。
要るものと要らないものをきちんと分け、自分には必要のない物に見切りをつけ、手放すことを子どもの頃から覚えていたら。
自分の持ち物を大事に扱い、自分を大事にできていたら。
あの勉強はしていなかったかもしれない。整った部屋を作れる自分であったなら、試験に受かっていたかもしれない。受けていなかったかもしれない。
「私は自分を裏切ったんじゃないか」心のどこかで長い間、ずっとそう思っていた。
試験を受けた後、不合格を確信してすごい泣いた。なにかが沢山終わった。
不適格である自覚はあった。しかし適格であろうとしただろうか、うそでも面接で力強く答えればよかったじゃないか。うそでも合格して人生を切り開けばよかったんじゃないか。そんなことを思っていた。
今でも、そういう気持ちはある。しかし時期は過ぎていて、わたしはもう別の段階に来ていて戻ることはない。時間は進む。あの時試験に受かっていれば決して出会わなかった人と結婚している。
「成功も失敗も過去のこと。時間は不可逆に流れる。前を向いて歩いて行こう」
というような文言が書かれた進研ゼミの付録に癒されたことよ・・・
「片付けなさい」とよく言われていたけど、全然やろうと思わなかった。大事じゃないと思っていた。アインシュタインだってエジソンだって部屋が汚くても偉大な仕事をしたじゃないか、と。
中学生の頃は勉強がよくできたのでほめられて勉強ばかりしていて、成績をとることを一番に考えていた生活だった。本当は、絵を描いたり文章を書いたり、英語を勉強したり、本を読んだり食べることが大好きだったのだから、もっとそれに真剣に取り組んでいたら。
「社会的に」「世間的に」「親的に」「立派そうな」仕事につこうだなんて思っても、自分の好きなものが明確になっていたら、そんなのは跳ね飛ばせたかもしれない。
少なくとも、もっともっともっと、毎日の満足度が高かったんじゃないか。
面白い、それ素敵、うまいね、やってて超たのしー
と思える何かを、見つけられていたかも。
持ち物を片付けると言うことは。
・親やヒトにもらった物だけれど、実はあんまり気に入ってなくて、見るたびにちょっと暗い気持ちになる 物をきちんと捨てること。(=捨てたい自分の気持ちを自覚し、受け入れることができる)
・買ってみたもののそんなに好きじゃなかったものを捨てる。(=失敗を認め、受け入れる)
・人にはけなされたけれど、自分ではすごく気に入っていて見るたびときめく物を残すということ。(これが好きなんだとはっきり自覚する)
・大事なものを大事にするために、買うものやもらうものは厳選するということ。
でした!
◎片付けについては、
『人生がときめく片づけの魔法』を読む。片付ける。落ち込む。読む。片付ける。打ちのめされる。読む。片付ける。幸せになる。
「今でも、自分には自信がないけど、自分の周りの物や環境や人には、大好きで自信があるんです」というような文章がとても印象的。
わたしは中学生のあと、勉強ができなくなって自信がなくなり死にそうになったから、もしあの頃の自分に会えたら、これを伝えてあげたい。そして自分にもし子どもができたら、唯一教えてあげたいのは片付けのことだと思った。
物を大事にし、部屋を大事にし、自分を大事にしてほしいということ。
- 作者: 近藤麻理恵
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親のレールとか、学校的価値観とかについて、この記事読んで書きたくなった。
「ちきりんブログ いい人生の探し方第1話」
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/