SNSシロップと自分の言葉を持つ人ー『しないことリスト』pha
だるくていいじゃん
世の中には、「した方が良いこと」が書いてある本やネットや新聞ばかりだ。
読んで実践し、変化する、それを良いことだと思っていた。成長だと思っていた。別にまちがってはいないと思う。でも、なんだかいつも焦っていた。
だから、ちょっとこの本『しないことリスト』を読んだ後の気分は特別だった。
お前で良いじゃん
月並みだけれど、そう言われたような気持ちになった。
「気張らなくて良いじゃん、自分すごい人じゃなくて良いじゃん、自慢できるようなことしてなくたって良いじゃん。それより嫌なことしてない?毎日嫌だな頑張らなきゃって思いながら暮らしてない?だるいって言っていいじゃん?」
そういう問いかけであった。
読み終わるころ満員電車を降りた。職場に向かって歩き出して、すごく肩の力が抜けている自分を感じた。
「子育ても楽しみたいし、仕事もがんばりたい!きれいにもなりたい!おいしいものも食べたいし旅行も行きたい!スキルアップして給料を増やしたい!」
欲望の深い私は、そんなことを願いつつにこにこ暮らしていたけれど、
実のところは他人の生活と自分を比較していて、
「こんな自分だめだ、こんな仕事してる自分だめだ、こんな収入低い自分。なんて無能なんだろう、なんて無計画なんだろう、なんて愚かで格好悪いんだろう、きっと話していてつまらないだろう、それに比べてみんなはすごいよな…」
いつもそういう意識があった。
自信がないから努力する。努力しなければいけない。努力できなかったらだめだ。
アタマの中は「ダメ」「コウシナキャダメ」でいっぱい。いつも、やらなきゃいけないことリストを終えることができず、力尽きて眠っていた。
この本を読んでみて、phaさんの文章を見ていて思った。私は盛りすぎだ、言葉も目標も色んなことに影響を受けすぎていると。
SNSシロップ
言葉って、不思議だ。
自分しか見ない日記やtwitter,ブログ、フェイスブックなど書く場所によって出てくる言葉が違う。
人に見られるとなると、出てくる言葉は変わる。
SNSに投稿するときは、なんとなく、まとめなきゃいけないような気がする。いいね!を最後に押してもらえそうな、ポジティブなまとめをした方が良いような気がする。
「だるい」
だけで終わっても良かったその投稿は、
しかし
「だるい
今日もがんばるぞ↑」
に変更されて投稿されるかもしれない。いいねは3くらいつくかもしれない。
私はそういう編集をよくやっている気がする。別に今日もがんばるぞと思ってなくても、書いてしまう気がする。味が変わる。感情が変わる。でもそう書かなきゃ価値がないような気がする。
しかし気持ちと乖離した言葉を使うことに慣れると、自分の言葉が出てこなくなる。今の気持ちにぴったりの言葉がわからなくなる。気がする。
自分の日記にだけ書くような、ボソボソとした話。地味でもオリジナルのアイディア。そういう言葉をいつでも書けるようになりたいなと思った。
phaさんの力の抜けた文章を読んでそう思った。
いいね!の数は関係なくて、すごい人になってフォロワーが増える必要なんてなくて、ただ自分の日常に立った、自分だけの視点の書き物をしたいな。phaさんみたいに。と思った。