ちんこ、毛糸、おっぱい。映画『彼らが本気で編むときは、』が良すぎてよすぎて、もう
荻上直子監督!
夫がDVDを見てばかりいるのだが、また借りてきた。
うんざりしながらDVDを手に取って見ると、よくわからないタイトル。
夫に尋ねると、『かもめ食堂』 や『めがね』の荻上直子監督の作品らしい。
目を剥いた。
私は荻上監督の映画が三度の飯の次のデザートよりも大好きなのだ。特に『めがね』は少なくとも13回は見ている。
早速見てみると、
(…生田斗真が女装している…?)
これが最初の感想だった。性同一性障害の役なのだ。
荻上監督の作品は、のんびりした、のほほんとした雰囲気が特徴だと思う。深読みもできるけど、雰囲気映画としてお酒を飲みながら楽しむような映画。
今回もそんなのほほんを予想していたら、見事に裏切られた。
映画『彼らが本気で編むときは、』感想
この映画に出てくるのは、
母親に捨てられた娘、性同一性障害の女性、ちんこ、男の人を好きになってしまう男の子、おっぱい、ちんこ、意地悪な同級生、鬼母、河原で編み物、美しい部屋とセンス良きお洋服。毛糸、毛糸。
だいたい以上である。
このような、登場の仕方を、かつてどのちんこが予想しただろうか。
物語としては、母親に捨てられた女の子と、性同一性障害の女性と男性のカップルが一緒に過ごすという話。よしもとばななのキッチンをふと思い出したが、全然違う話だ。
「普通って何?」「母親って何する人のこと?」
全部に、どストレートに答えてくる映画だと思う。
「普通なんてない」「こんなお母さん素敵だね」を見せてくれる。
そしてあのちんこだ…ちんこで泣いたんだ、私は。急に涙がこみあげてきてびっくりしたのだ。ちんこちんこ書いてるけど、ご安心を、美しい映像しか出てこないので。
終わる頃には、リンコさんが生田斗真だなんて信じられなかった。誰にも似てないリンコさん。素敵大好きリンコさん!という気持ち。誰よりも素直で、心優しい。
「自分のお母さんが、こんな人だったらなあと思っちゃう」ということを夫に言ったら、「あなたがそうなればいいんだよ」と言われて私はがんばろうと思った。
そうだ私は、もう守る側の人間であった。
大事なことは、みんなこの映画に映ってる。のほほん映画なんてとんでもない、人が思い切り傷つき、強く生きていく映画だと思う。
このところ、うちには金も職もなくて遊べない。夏が来たのにあるのは参考書と陰気な夫と職もスキルもない私だ。先が見えない疲れてる。
だけど、久しぶりに見た映画、この映画をみた後は心が満たされていて。栄養補給されたような気分になった。
ありがとう。作り続けて欲しい。荻上監督〜〜!